【共同経営はやめとけ】個人塾で共同経営が難しい3つの理由
1人で始めるのが不安で、友達と一緒に開業したいんだけど…
気持ちはわかるよ。でも共同経営は難しい面が多いんだ。
教員を辞めて塾を始めたい人の中には、友人と一緒に塾を立ち上げたいと思っている人も多いでしょう。
かくいう僕もそうでした。自分の不得意な教科を補い合ったり、勤務時間をずらせば開塾日を多くしたりできるからです。
しかし、結果として3ヶ月で、片方が塾を去ることになりました。
この記事では、共同経営がおすすめできない理由を3つ紹介します。
合わせて、もし共同経営するなら押さえておくべきポイントも紹介するので、起業する際の参考にしてください。
共同経営のメリット
塾を共同経営で行うメリットには以下のことが考えられます。
- 起業する際の煩雑な手続きを相談しながら乗り越えられる
- 互いの持っていないスキルを補完し合える
- どちらかが休んでも塾を閉めなくてよい
- テスト期間中は勤務時間をずらして毎日塾を開けられる
塾の共同経営は起業するまでは最高です。「どこの物件を借りようか?内装はどうしようか?」など、希望に満ち溢れた話だけができるからです。
なぜか、2人でやればなんでもできると思ってしまうんです。
塾を始めたての頃は、どちらの人脈も活かせるので塾生も増えていき、「このまま順調にいけば共同経営いけるな」と思っていました。
共同経営がおすすめできない理由
冒頭にも述べましたが、僕たちの関係は3ヶ月で終わってしまいます。
あれだけ、順調にいったかのように見えましたが、実はうまくいっていませんでした。
その理由は以下の3つです。
- 方向性がずれてくる
- 経理が複雑になる
- 貢献・負担を公正にできない
詳しく解説します。
1.方向性がずれてくる
1番大きな問題は「方向性がずれてくる」ことです。
起業当初は同じ考え方で経営できていたとしても、実際に塾を運営していく中で方向性が変わっていってしまいます。
僕たちの場合、実際に起こったのは「新しいことに次々チャレンジしていくか」という部分でした。
例えば、僕の塾は広域通信制のサテライト校に認定されていますが、提携を結ぶとなると「営業」が欠かせません。
しかし、もう1人は次々に新しいことに手を出していくことがかなり負担だったと思います。
すると、自分も仕事をセーブするようになり、自由に仕事をしたかったはずなのになぜか縛られている感覚になっていきます。
2.経理が複雑になる
一緒に事業を始めたからには、お金をきっちり半分にしたいと思うかもしれません。
が、かなり難しいです。以下に、経営形態の一覧を載せておきます。
経営形態 | メリット | デメリット |
LLP設立(有限責任事業組合) | 利益や経費を明確に分けられる。各自が独立した事業者としての活動が可能。 | 経理手続きが煩雑になり、利益の分配や税務処理が複雑化する。独立性が逆に経理上の問題を引き起こす可能性あり。 |
法人化 | 法人としての信用が高まり、銀行からの融資や契約面で有利。 | 設立費用や法人税、社会保険料の負担が大きくなる。特に小規模な塾では経営を圧迫する可能性がある。 |
業務委託 | 比較的簡単に始められる。業務の委託先が明確である場合、責任範囲も明確になる。 | 経理処理が混乱しやすく、費用の分担が曖昧になるとトラブルが発生するリスクがある。 |
従業員雇用 | 責任とリスクが分担され、個人事業主に依存しない経営が可能。 | 経理負担が個人事業主に集中しやすく、業務の透明性や公平性が損なわれる可能性がある。 |
僕たちが選んだのは、「業務委託」をする形態でした。それぞれが会計ソフトを入れて、入ってきた売上を折半して、経費も折半して記帳していく方法です。
比較的簡単とは言われていますが、例えば家賃の領収書を半々した額を2枚もらえたりはしません。(頼めばやってくれる大家さんがいるかもしれませんが)
だから、全ての経費でもう片方の支払う金額を「仮払金」に設定して、あとで仮払金を回収したことを記帳しなければならず、かなり面倒くさいです。
さらに、仮払金を受け取った際には領収書をいちいち書く必要もあります。(支払いを証明する書類がなければ税務調査の時にひっかかる恐れあり)
それでも、端数が出てきてしまうから完全に半々となることはありません。
3.貢献・負担を公正にできない
最後に、「貢献・負担を公正にできない」ことも挙げられます。
僕たちは教科を分けて勉強を見ていました。僕が数学、もう1人が英語のように。
そこで問題になるのが、塾生の割合です。数学と英語を受講する数は半々になるとは限らず、どうしても偏りがでます。
まして、開いた塾は小中高生の全てをターゲットにしたので、学習難度にも負担の差が出ます。
さらに定期テストの結果にどれだけ貢献したかも同じではありません。数学は伸びたのに、英語は伸びていないなどの問題が出ます。
すると、「もらっているお金は同じ金額でいいのか?」「点数が伸びなければ塾を辞めてしまって相方に迷惑がかかるかも」など不公平感やプレッシャーを感じることになります。
共同経営するなら押さえておきたいポイント
それでも、共同経営でいきたい人が押さえておくべきポイントは、次の2つです。
- あらゆる面で上下関係を決めておく
- ルールを明文化しておく
詳しく解説します。
1.あらゆる面で上下関係を決めておく
「共同経営=対応な関係」という発想では、経営がうまくいきません。
僕たちは「基本話し合ってきめるが、決定権は僕にある」ときめていましたが、それでもうまくいきませんでした。
もし、対等な関係を望むのであれば一緒に起業するのは諦めた方がいいと思います。
結局、責任の所在がわからず、不公平感が生じてくるからです。
それでも一緒に事業をしたいなら、完全に上下関係は明確にしましょう。
- 雇用関係
- 報酬の分配
- 初期投資額・経費の比率
2人の関係は雇用関係にしておくことがいいでしょう。責任の所在が雇用する側になり、方向性や決定権も明確になります。(何かを決めるときには一緒に決めるのではなく相談という形)
また、報酬も時給〇〇円や月給〇〇円などきっちり決めておきましょう。売上に左右されう給料は結局、相方に経営の責任を取らせることになります。
その分、初期投資額・経費の比率は自分が多めにというより、すべて自分が出すぐらいでもいいでしょう。
相方に負担を求めることになり、経営している際の判断を鈍らせます。
2.ルールを明文化しておく
決めたことは、必ず明文化しておきましょう。
幸いに僕たちは経営上の意見の不一致のみで、お金に関することで揉めませんでした。
今では相方も就職をして生活できているので、一緒にBBQをする仲でいられています。
しかし、お金のいざこざがあったら、良好な関係のままいられなかったと思います。
決めたことは逐一、文章化していざというときに備えておきましょう。
まとめ
共同経営の塾は、魅力的な面がある一方で、多くの課題を伴います。特に経営の方向性がずれること、経理の複雑さ、貢献と負担の不公平感などが問題となりがちです。
共同経営を検討する場合は、上下関係を明確にし、ルールを文書化しておくことが重要です。
対等な関係ではなく、責任の所在や決定権を明確にすることで、経営がスムーズに進む可能性が高まります。