読解で必須!意外と難しい古典文法「なり・なる」の識別
読解をする上でも、文法問題でも重要な「なり・なる」の識別を解説します。(以下まとめて「なり」と表現)
「なり」は大きく4つに分けられます。特に断定と推定の違いは選択問題でもよく出ますのでマスターしましょう!
- 四段動詞の「なる」
- 断定の助動詞「なり」
- 伝聞推定の助動詞「なり」
- ナリ活用形容動詞の活用語尾
古典文法が嫌だなと思う人でも簡単に見分ける方法を教えるので、ぜひ参考にしてください。
まずは動詞かを疑え!
意外かも知れませんが、「なり」の識別で最初に疑うべきは助動詞ではなく、動詞です。
「かっこよくなったね」のように、とある状態から今の状態に変化を表す時に使われます。
ちなみに用言がくっついている時は「連用形+なる」になっているので、形からでも判断できます。
動詞の「なる」は今でも普通によく使うので、馴染み深く識別しやすいです。
前にくっついている言葉に注目!
次は、断定か伝聞推定の助動詞かを判断しましょう。ここが1番入試で問われる部分です。
終止形なら確定で「伝聞推定」、体言なら確定で「断定」となります。次の文はあまりのも有名なので丸暗記してもいいでしょう。
例)男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。『土佐日記』
「すなる」→終止形+なる→伝聞推定
「するなり」→連体形+なり→断定
ただし、連体形の場合は細かく解説すると上記の※のようになりますが、実際は形ではわからないことが多いので文脈判断となります。
- 何か音やうわさ話を聞いているなら伝聞推定
- それ以外なら断定
※の中でも、撥音便化しているときは「推定」となります。
- 「あなり」←「あんなり」←「あるなり」
- 「ななり」←「なんなり」←「なるなり」
形容動詞は「げ」に気をつける
最後に、意外と紛らわしいのが形容動詞です。
例えば、「あはれなり」は一見「あはれ+なり」とも取れますが、「あはれなり」で1つの単語です。
状態や様子を表す語に「なり」がついている場合は形容動詞となります。「あはれなり」のように有名な形容動詞は覚えておいてもいいですね。
「きよげなり」「すさまじげなり」「美しげなり」など、
「〜げなり」になると必ず形容動詞となるので覚えておきましょう!!
まとめ
古典文法を学ぶ際に重要な「なり」の識別方法について解説しました。以下のように識別を行いましょう。
「なり」の識別には四段動詞の「なる」、断定の助動詞、伝聞推定の助動詞、ナリ活用形容動詞の活用語尾の4つがあります。
まず動詞の「なる」を疑い、状態変化を表す場合は動詞です。助動詞の場合、終止形+なるは伝聞推定、体言+なりは断定です。
形容動詞は「げ」に注意し、「〜げなり」であれば形容動詞と判定します。
文脈判断も重要で、音やうわさを聞いている場合は伝聞推定、それ以外は断定です。